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生き続けている廃屋

10年程前にさかのぼります。車で30分程走つた農道沿いにどこかか存在感を感じる小さなレンガ造りの廃屋が気になっていました。そこを通るのは年に1回あるか、無いかほどなのですが、5年程前このレンガの家の近くで車を止め、家の中を「探検」してみました。一歩中へ入ると外からは想像できない豊かさを感じられるのです。建物の規模は7坪程度でしょうか、外壁を見て行くとかつて屋根部分が繋がっていた跡が見られレンガ造以外に木造部分があつた事が想像出来ました。 

何とか「小さなレンガのお家」の由来を調べ、取り壊されないうちに「敏之レポート」へ載せてみたくなり、カレンダーをお土産に周辺のお家に聞き込み調査(ピンポーンとインターホンを鳴らし、すみませーん「この先のレンガのお家のことで-」と言う具合に聞いて行くと以外にも3軒目のお家で「レンガの家」の建て主さんと連絡を取る事が出来、「取材」を心良く了承して頂きその足でさっそくお会いすることが出来ました。

1時間以上にわたり「レンガ造りのお家」のお話を細部に渡りお聞きする事が出来ました。

この小さな小さなレンガのお家は「暖かな家族の物語」でもありました。当時のアルバムなども快く見せて頂き画像にも取り込ませて頂くことが出来ました。話を「探検」の時に戻します。 

居間に入り目に入ったのは暖房設備である「ペチカ」天井には鏝により塗りこまれた円形の模様、モザイクタイルが細部まで丁寧に張り込まれた流し台。

更にそう大きくも無い浴室の入り隅にメインの浴槽以外に半円の形をした50cm程度の「浴槽」がメインの浴槽と共に丁寧にモザイクタイルが張られていました。

私は疑問に感じていた事をたて続けに聞いてゆきました。お話を聞くうち私はこの当時、レンガの家をこだわって建てた「お父さん、お母さん」に自分自身を重ね合わせながら聞かせて頂いたように思います。

半円の小さな浴槽は「上がり湯」?と言う私の問いにお父さんは「私達がお風呂に入っている時に、子供が遊べる様に小さな浴槽を作つた」と事も無げに言うのです。家族に愛情を込め家を作ったお父さん、本当の「建築家」です。




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